作者 | 山田 玲司(原作) バナーイ(作画) |
発刊数 | 2巻(2017年9月) |
無料で読めるアプリ | マンガワン (期間限定) |
今回紹介するのは、近未来のSFストーリー、「CICADA」です。
「マンガ」を所有することすら罪になる、人間の格差のついた世界で繰り広げられる、二人の男女の物語。
序盤の展開とは裏腹に、「CICADAのマンガを現実にする力」から物語が急展開、そして面白くなる作品です。
CICADAは、2017/9/6までの限定で無料掲載されています。
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CICADA(シカーダ)のあらすじ
舞台は近未来、かつて世の中に溢れていた「マンガ」は、所持するだけでも罰せられてしまう世の中。
所有資産で分けられた身分階級まで作られ、主人公「レム」はその中でも最下層である「金(ゴールド)」ランクでした。
しかもどんくさくて要領も悪いことから、後輩にまで馬鹿にされる始末…。
唯一の味方であった猫のマシューまでもが姿を消してしまい、心が折れてしまいそうになるレム。
そんなある日、禁書官としての仕事でマンガを押収した際、好奇心を抑えきれずに一冊のマンガを密かに持って帰ってしまいます。
その途中で謎の女「ロルカ」と出会い、マンガの魅力を知り、またロルカに喜んでもらうために、軍からマンガを盗み出すことを決意。
しかし軍のラボに存在していたのはマンガだけではなく、「マンガを現実にする力」を持つ「CICADA(シカーダ)」という人間でした。
なぜ「マンガ」は罪になるのか
物語の序盤は、なぜこんなにマンガが排除されなければならないのか、変な世界だなーという感想しか出てきませんでした。
いくら「マンガのせいで日本は荒廃した」なんて理由を付けてみても、全然説得力がありませんからね。
しかし、 CICADAの登場で、その答えは一気に解決。ロルカのように軍が管理できていないシカーダがいる以上、マンガが溢れている世の中ではシカーダはとんでもない脅威です。
彼らに力を持たせないために、軍は徹底してマンガを排除・収集しているのでしょう。しかしマンガを徹底的に無くすなんて、かなり無謀で気が遠くなるような作業ですよね…。
ジェリコのように、せっかく押収したマンガを横流しする悪いやつもいますし。
シカーダの能力
シカーダとはいったいどのような存在なのか、まだまだ謎に包まれています。
元々シカーダとしての能力を持っている者が軍のラボに拘束されているのか、軍により兵器として開発されたのがシカーダなのか…。
シカーダの能力についても、わからないことだらけです(CICADAとして初めて登場するのは、プルートゥ)。
「マンガを現実にする力」というのも、初めに出会ったリクロ固有のものなのか、それとも全てのシカーダが同じ能力を使えるのか。
自分でマンガ描いたら最強じゃない?などの疑問も湧いてきますね。
もしも私がシカーダだったら、実現したことが山ほどあります。
ロルカはマシューなのか
第1話で登場した猫のマシュー。
レムにとって唯一の家族だったようですが、レムの誕生日を境に姿を消してしまっています。
そこでタイミングよく出会ったロルカ…実はマシューはロルカがシカーダの能力によって変身していた可能性もあるのではないでしょうか。
何となく、目元の感じや雰囲気が似ているような気も…。
でもロルカはレムが禁書管であることを知らなかったし、もしもロルカがマシューだったら仕事とか知っているはずです。
ということはやはりロルカとマシューは無関係なのか、それともマシューになっている間の記憶がないだけなのか。
マシューが全然登場しないしほとんど話題にもならないので、その存在をちょっと忘れそうになります。
しかし、ストーリー上絶対に重要なポジションにいるはずなので、マシューの正体や役割などが気になりますね。
様々な名作マンガが登場
作中で登場するマンガは、実在する名作漫画ばかり。
「うる星やつら」や「ベルサイユのばら」など、ちょっと古い漫画が多い印象です。
それらの作品を細かく読んだことはないのですが、「CICADA」で登場したことでちょっと興味を持ちました。
これからもちょくちょくそういった名作マンガが登場してくると思うので、どんな作品が出てくるのか楽しみです。
知っている作品が出てきたら、ちょっと嬉しくなりますね。
それがちょっとマイナーな作品だったりしたら特に。
ただ、基本的には「鉄腕アトム」のように「マンガを現実にする力」を最大限生かせる作品や、人生観を変えられるほどの名作ばかりになるんだろうなとは思います。
でも正直、「うる星」や「ベルばら」は名作なんだとは思いますが、ストーリーの途中を1冊2冊読んだだけで「感動した!憧れた!」ってなるような作品ではないと思うのですが…。
その辺の過剰な持ち上げ感やゴリ押し感は、なんだかリアリティがなくてちょっと白けてしまう感じがしてしまいます。
「CICADA(シカーダ)」の感想・ネタバレまとめ
この作品は本格的なSFというよりは、「もしも〇〇だったら」くらいのゆるいSFという印象を受けます。
きっと、「実在するマンガ」という身近で現実的な存在を物語の中心にしたことで、微妙にスケールが小さくなってしまっているのではないでしょうか。
壮大な宇宙などをテーマにした作品などと比べると、SF独特のワクワク感というものは薄いです。
あと、細かく書き込まれた絵柄に対して、作中で登場するマンガの絵柄が浮き過ぎていて違和感が。
「CICADA」の世界観と「実在するマンガ」という存在が全くマッチしていないとでも言いましょうか…。
どうせなら「マンガ」の内容もオリジナルにした方が、違和感がなかったと思います。
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