作者 | 森 恒二 |
無料で読める 漫画アプリ |
マンガPark (アプリストア) |
完結済み ⇒ amazonで見る![]() |
実写ドラマになった事のあるこちらの路上喧嘩マンガ「ホーリーランド」、その人気は韓国にまで及びました。
ストーリーは、作者の森恒二さんの実体験も入っているそうです。
今回は実際にもありそうな、リアルな街の裏の世界を描き出したこちらの作品「ホーリーランド」をご紹介させて頂きます。
ホーリーランドは、白泉社の公式アプリマンガParkで公開されています。
マンガPark
壮絶なイジメを受けた男子が独学で格闘技を学び、勇気を以って立ち向かうストーリー!
「不良狩りのボクサーがいる」夜の街にこんな噂が流れていました。
パンピー(普通)の風貌ながらプロ顔負けのボクシング技術を持っているらしいその男は、絡まれると一瞬で相手を倒す!
「路上のカリスマ」と呼ばれる伊沢マサキはその男に戦いを挑むため、仲間と共に探しに出ます。
しかしその男の正体は、ひ弱な身体と大人しい性格が元で中学の頃壮絶なイジメに会い、引きこもりをしていた神代ユウという高校生。
彼は自殺をしようとするも出来ず、家にも学校にも自身の場所を見つけられないまま夜の街を徘徊する毎日を送っていました。
しかしある時ボクシングのワン・ツーを覚え、それを確実なものにするため家で毎日筋トレから猛特訓を始めます。
それを習得したあと不良に絡まれ、咄嗟にワン・ツーを出すと鮮やかに相手を倒す事に成功!
自分の居場所を守るため、実践を重ねます。
そんな彼はいつしかカリスマ的存在になり、次から次へと出てくる猛者達と戦い続けるのでありました。
ホーリーランドの感想・ちょっとネタバレ
現代の闇を描いた少し重たいテーマ
昔から根絶する事の出来ない問題、ドラッグやイジメ、家庭内暴力、引きこもり。
主人公のユウは死ぬ事を考えるほどのイジメを受けて引きこもりとなっていたわけですが、現代においてそのような子供は何人いるのでしょうか。
大人になっても引きこもりを続けている方もいます。
この物語はそんな日の光の当たらない人物像に焦点が当てられ、立ち直って行くサクセス・ストーリーでもあります!
とは言えスルスルとうまく行くわけではなく、戦い中に感じる突然の恐怖や絶望感、後悔などがリアルに描かれており、一筋縄では行かない路上喧嘩の描写が読者の心を掴んで離しません。
途中、親友となる緑川ショウゴがドラッグに溺れるシーンでは、どうしたら友をドラッグから救えるのか…とかなり難しい議題が描かれています。
そのあたりの現代における闇の部分がリアルなので、読んでいて考えさせられる事が多い作品となっていますね。
ちょっとしたギャグも入っていますが、全体的にはシリアスなストーリー展開です!
ユウの「死ぬほど頑張る」努力に心打たれる
本屋で立ち読みをしながらボクシングのワン・ツーを覚えて行くユウ。
毎日血の滲むような努力をして、ひ弱だった身体を筋肉質なたくましい身体へと変貌させます!
最初は「不良狩りのボクサー」の噂を耳にし自分が有名になってしまったと怖気づきますが、その後の「カッコイイ―」と言う言葉に昂揚感が湧き上がる。
その様子は今まで必要とされる事のなかった人生を物語っていて、とても不憫に思いました。
命を絶つとまで考え人間の底を体験したユウだからこそ、本当に死にもの狂いで努力が出来るのだと思います。
そうやって周りに抗えなければ、自分の居場所はどこにもないのだから…。
ユウは格闘マンガの主人公ではありますが、ヒーローではありません。
ガクガクと震えながら自分より大きい相手に立ち向かって行く。
そんなユウの姿勢は尊敬に値し、素直に「頑張れ」と言いたくなります!
イジメ被害に会っている男子が強くなる様子と、技などが詳しく描かれている描写はあの名作「はじめの一歩」に似ています。
どちらもたくさんの努力をする事で強くなって行く。いじめられっこの成長物語ですね!
もっとアウトロー寄りであれば、「軍鶏(シャモ)」もありますね。こちらも弱かった主人公が格闘技を通じて、強くなっていくお話です(ダークですが)。
闇、裏の街。そこにある確かな友情に涙!
ユウが喧嘩によって得た友人、仲間の環境はとても良いものが築けていたと思います。
一番の親友、金田シンイチは最初喧嘩に巻き込まれた時ユウとの関係を断とうとしますが、結局はユウのひたむきな心に打たれ、その後はどんな危険があっても親友でい続けます。
いつでもユウを心配し、大怪我をしてもユウの味方でいるのです。
それは中々出来る事ではなく、シンの厚い心には涙が出ました…。
ユウの師匠とも言えるマサキも、ユウと同じく暗い過去を持っているからこそ情に厚い男気のある人間で、周りの人間を守りユウを成長させました。
マサキはどちらかというと、本当にカリスマでリーダーシップのある人間だと思います!
更にユウは、強くなりたいという確固たる願望、必死さゆえ路上喧嘩で対戦した相手に喧嘩や技の秘訣を聞き出したりもします。
相手からしたら負けた相手にそんな事を言われるのは腹が立つと思いますが…みんな不良とはいえ根が良い人間ばかりで、ユウに懇切丁寧に助言をするのです。
それもユウの人柄の良さゆえ…パンピーだからでしょうか?
兎にも角にも、この作中の不良達は根っから悪い奴は少ないので気持ちよく読めます!
出てくる格闘技の描写、知識が細かくて見応えがある!
冒頭にも書きましたが作者の森恒二さんの実体験が元になっているこちらの作品。
要所要所に森さんの解説が入っており、それがまた詳しくて驚きました!
ボクシング、プロレス、テコンドー、柔道、剣道…。
全ての格闘技を網羅しているので、格闘技好きにはたまりません。
それぞれの強さだけではなく「路上喧嘩」であるための弱点なども描かれていて本当に面白いです!
きっと自らが格闘技を経験していないと、描けない部分が多々あります。
先にも書いた、突然の恐怖や痛みなど…。
喧嘩マンガはそのあたりがリアルに描かれていないと、読んでいても「本当に痛いのかな?」と思いがちで実際自分にも出来てしまうのではないかと錯覚してしまいます(笑)
森さんのこの「作者の解説付き」という突起した手法には賛否両論があり、苦手な方にはちょっとこっ恥ずかしいものではありますが、私はこの手法がこの作品の魅力であり、なくてはならないものだと思います!
ホーリーランドの感想まとめ
以上「ホーリーランド」の魅力について語らせて頂きましたが、ユウにとっての「ホーリーランド」とは、絶望し死を垣間見た彼の切望する「存在して良い居場所」であり、誰にもその場所は譲りたくないという「想い」が一貫して主張されているものなのだと思います。
ヒーローではない、ドン底から這い上がろうとした彼だからこそ、こんなにもリアルな格闘技マンガが出来上がったのです!
特にこんな方々におススメです。
- 自分に自信が持てない方
- 格闘技が好きな方
- シリアスな喧嘩マンガが好きな方
- じっくりと読みたい方
- 強くなりたい方
最終的にユウはどうなるのか?物議を醸す衝撃のラストが待ち受けており、完結した今も続きが気になるような魅力的な作品です。
更に何度読み返しても面白いので、ぜひ手に取って頂きたいです!
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森先生の有名作品と言えば・・・
他にも、自殺者だけが送り込まれる島が舞台の「自殺島」や、超能力×テロをテーマにした「デストロイ×レボリューション」がありますね。
特に自殺島はかなり面白いですよ。